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東京地方裁判所 昭和46年(特わ)875号 判決 1972年1月26日

本店所在地

東京都墨田区菊川二丁目一二番七号

福山鋼板株式会社

(右代表者代表取締役 福山日出男)

本籍

東京都墨田区菊川一丁目三三番地の一

住居

同都同区菊川二丁目一二番七号

会社役員

福山日出男

昭和一〇年三月一日生

右の者らに対する頭書被告事件について、当裁判所は検察官宮本喜光出席のうえ審理をとげ、次のとおり判決する。

主文

被告会社福山鋼板株式会社を罰金三〇〇万円に処する。

被告人福山日出男を懲役四月に処する。

ただしこの裁判確定の日から二年間被告人福山日出男に対する懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となる事実)

被告会社福山鋼板株式会社は、東京都墨田区菊川二丁目一二番七号に本店を置き、一般鋼材の熔断加工および販売等を目的とする資本金二〇〇万円の株式会社であり、被告人福山日出男は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人福山は、被告会社の業務に関し法人税を免れようとくわだて、売上の一部を除外し、あるいは架空仕入を計上するなどして簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一、昭和四二年六月七日から同四三年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一八、七四六、〇三五円あったのにかかわらず、法人税の申告期限である同四三年六月三〇日までに、東京都墨田区業平一丁目七番二号所在の所轄本所税務署署長に対し、法定の確定申告書を提出しないで右期限を徒過し、もって同会社の右事業年度における正規の法人税額六、三六八、六〇〇円を免れ(別紙一、四)

第二、昭和四三年五月一日から同四四年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一一、六七七、七五一円あったのにかかわらず、同四四年六月二八日前記所轄本所税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二七四、二七三円で、これに対する法人税額が二三五、三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額三、七四八、九〇〇円と右申告税額との差額三、五一三、六〇〇円を免れ(別紙二、四)

第三、昭和四四年五月一日から同四五年四月三〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二二、四六二、九八九円あったのにかかわらず、同四五年六月二九日前記所轄本所税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、七五〇、四〇八円で、これに対する法人税額が三五一、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同会社の右事業年度の正規の法人税額七、五〇五、一〇〇円と右申告税額との差額七、一五三、九〇〇円を免れ(別紙三、四)

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人福山日出男の当公判廷における供述

一、被告人福山日出男の検察官に対する供述調書、嘆願書および大蔵事務官に対する各質問てん末書(一一通)

一、山口敏彦の検察官に対する供述調書および大蔵事務官に対する昭和四五年一一月一六日付質問てん末書

一、登記官石川正夫作成の登記簿謄本

一、昭和四三年四月期、昭和四四年四月期および昭和四五年四月期の各総勘定元帳(各一綴、昭和四六年押第一七七五号の三、四、五)

一、昭和四三年四月期、昭和四四年四月期および昭和四五年四月期の各確定申告書(各一綴、昭和四六年押第一七七五号の一二、一三、一四)

以上のほか別紙一、二、三の各1(売上高)について

一、溝口明の大蔵事務官に対する各質問てん末書(二通)

一、大蔵事務官小林昭作成の売上調査書

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

一、溝口明の仕入帳一冊(昭和四六年押第一七七五号の一一)

一、代金取立手形預り帳二冊、代金取立手形通帳二冊、代金取立手形通帳一冊(昭和四六年押第一七七五号の一、二、一〇)

別紙一の2、二の3、三の3(仕入高)について

一、山口敏彦の大蔵事務官に対する昭和四六年一月一二日付質問てん末書および「決算修正表の提出について」と題する上申書

一、大蔵事務官小林昭作成の架空仕入調査書

一、村上信男作成の上申書

一、大生信用組合作成名義の残高証明書

一、大蔵事務官新平重夫、同松岡賢逸各作成の現金有価証券等現在高検査てん末書(二通)

一、大蔵事務官小林昭作成の代金取立手形調査書および各銀行預金調査書(三通)

一、大蔵事務官小森栄作成の簿外手形調査書

別紙一の4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、18、19、について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書別紙一の12、16、17、20について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

一、銀行勘定元帳一冊(昭和四六年押第一七七五号の六)

別紙二の6、20、22、26について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

一、銀行勘定元帳一冊(昭和四六年押第一七七五号の七)

別紙二、三の各18について

一、大蔵事務官小林昭作成の事業税調査書

別紙二の25および三の28について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

一、大蔵事務官森本正一作成の証明書

別紙二の29について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

別紙三の6について

一、小林輝子の「福山鋼板株式会社との取引について」と題する上申書

一、銀行勘定元帳一冊(昭和四六年押第一七七五号の八)

別紙三の9、10について

一、中道武夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

一、大蔵事務官小林昭作成の「債権償却特別勘定について」と題する調査書

別紙三の11、26について

一、平形明の「自動車の販売について」と題する上申書

一、大蔵事務官小林昭作成の車輛購入調査書

別紙三の16、13、27について

一、山口敏彦の「決算修正表の提出について」と題する上申書

(法令の適用)

判示第一、第二、第三の各所為につき、法人税法第一五九条第一項(被告会社についてさらに同法第一六四条第一項)。

被告会社については、刑法第四五条前段、第四八条第二項。

被告人福山日出男については、各罪につきいずれも懲役刑を選択のうえ、刑法第四五条前段、第四七条、第一〇条(判示第三の罪の刑に法定加重)、同法第二五条第一項。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 杉山忠雄)

別紙一 修正損益計算書

福山鋼板株式会社

自 昭和42年6月7日

至 昭和43年4月30日

<省略>

別紙二 修正損益計算書

福山鋼板株式会社

自 昭和43年5月1日

至 昭和44年4月30日

<省略>

別紙三 修正損益計算書

福山鋼板株式会社

自 昭和44年5月1日

至 昭和45年4月30日

<省略>

別紙四 税額計算書

福山鋼板株式会社

昭和43年4月期

<省略>

昭和44年4月期 昭和45年4月期

<省略>

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